修了生?在学生の声
国文学専攻
成田 大知(国文学専攻博士課程後期在籍)
東京の大学?大学院と聞くと、喧噪に囲まれた高層ビルを想像するかもしれませんが、成城は違います。自然に囲まれたキャンパスで、春は桜に、秋は紅葉に彩られます。キャンパスに特段高い建物が無いため、視界を邪魔するものが少なく、研究室の窓から眺める空はとても広く見えます。まさしく文学研究に適した環境と言うことができるでしょう。
澳门网上博彩_澳门现金网-在线官网大学院国文学専攻では、自然豊かなキャンパスで、上代、中古、中世、近世、近代それぞれの時代の文学、そして、漢文学と国語学の、斯界の第一線で活躍される先生方の指導を受けることができます。私は『源氏物語』を専門とし研究していますが、他分野の先生方から御指導、御助言をいただくこともあります。分野の垣根を越えて文学について語り合える環境が、成城にはあるのです。これほどまでに充実した学問的環境にある大学院は、極めて珍しいのではないでしょうか。
よく「研究は辛いものだ」という言葉を耳にします。私も、思うような研究成果をあげられなかったり、博士論文のことを考えたりすると、芥川龍之介ではありませんが、「唯ぼんやりした不安」に襲われることがあります。それはとても辛いことです。ですが、先生方や他の院生たちと議論を交わす時間は、その辛さを忘れさせる、まさに愉楽のひと時です。その先生方や他の院生たちの指摘は研究に裨益するところ大きく、それがきっかけとなり論文が一本生まれるなんていうことも珍しくありません。成城の先生方や院生たちがフレンドリィな人柄である故に、学問的に充実した時間を過ごすことができるのだと思います。そして、このような先生方と院生の麗しい関係を築けることこそが、成城の素晴らしさであると実感しています。
英文学専攻
山本 まゆみ(英文学専攻博士課程後期在籍)
他大学大学院から文学研究科英文学専攻の博士課程後期に入学し、学ぶ姿勢を新たにしました。それは先生方のきめ細かなご指導に接した結果です。研究を中心とした生活のあり方を見直して、学ぶ時間が大幅に増えただけでなく、質も高まったように思います。これまで準備してきた博士論文の構想についても、再検討が必要になりました。しかし、この変化は決して辛いものではなく、むしろ今までで一番充実しています。英語でのアカデミック?ライティングの基礎から応用への発展を意識しながら、一冊の研究書の読み方も向上しました。
大学からは事務的な連絡を含め、有益な情報が頻繁に伝えられます。これも大変ありがたいことで、コロナ禍のため大学に実際に行けない期間もありましたが、現在何に注意したらよいかがわかり、安心していられました。また、図書館の充実した資料やレファレンス?カウンターの方々のサポートにも助けられています。直接ご指導を受けていない先生方からも折に触れて励ましていただいたり、参考になる研究書を紹介いただく機会も多く、視野が広がって複数の視点から思考する習慣がつきました。論文構想発表会や授業などを通じて、他の院生の研究内容を知ることも刺激になります。狭い世界から広く深い意味を持つ世界へと進むことが、英文学専攻での研究生活により可能になると思います。
小澤 史緖(英文学専攻博士課程前期在籍)
学部時代にはアメリカ文学を学ぶ一方で英語教育にも興味を抱き、大学院では専門を変えて英語学、特に応用言語学を学ぶことを決断しました。専門分野を変えることは挑戦的でしたが、大学院の先生方に細やかな指導を受け、日々勉強しています。
学部と大学院で大きく異なる部分は、大学院では先生方との距離が非常に近いことです。少人数制の授業が多いので、疑問が生じればすぐに質問でき、また興味があるトピックについては先生と直接話すことができ、理解を深めることができます。授業と私自身の研究に関する勉強を両立させることは大変ですが、授業を通じて新しい知識を得ることができ、広がり続ける新しい世界にワクワクしており、充実した毎日を過ごしています。
「大学院」と聞くと自分には関係ないと考えられがちですが、実際には自分の興味のあることに深く向き合うことができるいい機会です。学部時代よりもじっくりと学び、新たな知識にどんどん触れることができます。指導教授はもちろん、授業を担当してくださっている先生も非常に丁寧に指導してくださり、私の成長をサポートしてくれます。大学院に進学して本当によかったと日々感じています。今後も一緒に学んでいく仲間が増えればいいなと思います。
日本常民文化専攻
松本 大輝(博士課程後期在籍)
私は大学院では江戸時代の宮門跡の一つである輪王寺宮の研究をやっています。輪王寺宮研究というのは先行研究が限定的で、史料収集の段階から苦労の多い研究分野でありますが、一方で新しい史料を見つけ、先行研究上では考察されていないような新たな事例を発見した時には、研究意欲が強く刺激され、研究活動において最も楽しい時間となっています。新しい史料を探すというのは独学では難しく、先生方のご助言もあって見つけられるものであり、大学院に進学して良かったと思える瞬間です。
また日本常民文化専攻は、日本史学?民俗学?文化人類学の三分野が連携して活動しており、学問的な刺激が多い環境となっています、専攻内の交流において、自身の研究に対して異なる研究分野からの指摘というのは新たな研究上の着眼点を生み出すきっかけとなり、また専攻内の研究会では研究誌の発行を毎年行っているため、研究誌を通じて知見を広げる他、研究誌への執筆を研究活動上の目標の一つとして取り組む事が出来るようになっています。
何かと苦労の多い研究生活ではありますが、史料を通じて自身の研究を一から組み立てる楽しみというのは何ものにも代え難く、こういった研究活動を支えて下さる先生方や学友達には感謝しています。
真保 元(博士課程前期在籍)
日本常民文化専攻は民俗学?文化人類学?日本史学の3分野から形成されています。私はその中でも、民俗学を専攻し、「駅前再開発による人々の都市空間認識の変化」を研究しています。一見すると、民俗学らしくないテーマのように思われるかもしれませんが、指導教員をはじめ、専攻の先生方からのご指導によって、民俗学の議論の俎上に載せながら研究しています。先生方と院生との距離が近く、自由な雰囲気のなかで厳しくも手厚い指導を受けることができるのも、日本常民文化専攻の特質です。また、外部の学会?研究会への参加も活発で、そうした場での交流によって議論を深めています。
常民専攻の院生は先述の3分野の授業を履修することができ、授業内の議論も学際的です。また、院生研究室でも3分野の院生が日常的に学際的な議論を行っています。そのため、自らの研究が行き詰まった際には、意外な視点から意見をもらうことができ、刺激になっています。
実は、私は大学院生であると同時に、学芸員として仕事をしています。学芸員資格を取得していれば、在学しながら博物館で働くことも可能ですし、修了後に博物館に就職していく方も多いです。在学しながら働くことは、たしかに大変ではありますが、大学院で学んでいることを博物館で活かし、博物館で得た経験を自分の研究に活かすこともできるのです。
研究人生においては、「経験すること」こそが何よりの宝だと思っています。たくさんの刺激的な経験をすることができる日本常民文化専攻は、宝物庫のような場所であるといえるでしょう。学びを深めたいと思っている方は、ぜひ進学を検討してみてください。楽しい研究生活を送ることができるはずです。
美学?美術史専攻
柳川 太希
本学の美学?美術史専攻の特徴は、先生方?各院生があらゆる芸術ジャンルを研究対象としているところでしょう。それは絵画、彫刻、音楽、演劇、映画など多岐にわたります。そこから多くの刺激を得ることができます。院生が研究発表をし合う授業がありますが、他の芸術分野を研究している人の発表を聴くことで、自身の研究を相対化する機会になります。私は美学を専門とし、特にいけばなの研究をしていますが、他の芸術ジャンルとの間でいけばなを比較考察する視点を持てるようになったのは、本専攻で学んでいるからに他なりません。
本専攻の先生方は各分野の第一線で活躍しており、論文執筆の際とても貴重なアドバイスをもらえます。また、先に述べた院生同士が発表し合う場があり、院生同士が日々刺激し合い、助け合っています。こうした充実した研究指導体制と刺激し合える同僚がいる中で研究者としての技術?作法を身に着けていく日々は非常に充実しています。
日々の研究は一つ進めばわからないことがその倍以上増えていきます。我々は皆終わりなき道を歩いており、自らがなすべき仕事が日々増えていくのはとても幸せなことです。自らの研究を深化?拡張させたいと思っている人の意欲に対して、本専攻はどこまでも応えてくれます。ともに研究する仲間が加わってくれることを望んでいます。
コミュニケーション学専攻
吉井 智晴(コミュニケーション学専攻博士課程後期単位修得退学)
私は、理学療法士の資格を持ち、理学療法士の養成校で教員をしながら、博士課程後期に在学しています。全く他分野からの入学でしたので、1年目は、研究指導、博士後期課程の授業とともに、コミュニケーションの基礎やその研究法の学部生の授業を受講しました。仕事と学生生活の両立は時間的に厳しい時がありますし、有給休暇がなくなっていきますが、「学びたいときに学びたいことを学んでいる」ので、見るもの聞くものすべてが新鮮で、あっという間に1年間が過ぎました。
理学療法士の多くが働く病院や施設では、患者さんとのコミュニケーションがとても重要です。しかし、そのコミュニケーション能力に問題があり、挫折する学生や臨床現場で悩む若い理学療法士とかかわっていて、それらの課題に対して、具体的方法論を持って明確に指導ができるようになりたいと思い、学び始めました。
当専攻は色々なバックグランドを持っていても、それを理解して学べる体制を作って下さっています。若若いときに学ぶことは時間がたくさんあるので有益だと思いますが、思い立ったときがその人の学び時、いつでも遅くないと思います。今後、多くの仲間が増えることを願いつつ、自分の目標を達成したいと考えています。
ヨーロッパ文化専攻
山口 彰識
ヨーロッパ文化専攻の魅力は何よりも思想、文学、古典、歴史、言語、美術と幅広い分野を学べることです。このことが研究している対象を様々な面から分析するきっかけを与え、新しい発見に繋がりやすい環境をつくっているように思えます。私は広域芸術論で19世紀のフランスの印象派の作品を扱った画商、デュラン=リュエルの作品売買について研究をしており、画商と画家との関係のみならず、文学者や音楽家、政治家、実業家などのことも調べる機会があります。また、作品の変遷を知るために、資料を原文で読み、本当にその情報は正しいのかどうかなどを調査することもあります。時には地道で、自分が向かっている方向は果たして合っているのかどうか不安になる時も少なくないですが、そこから何かを発見した時の驚き、達成感は自分の宝になると思います。大学院ではそのような宝を沢山見つけ、人と共有することによって自分を高める可能性をもった素晴らしい場所だと思っております。