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2025.05.22
データサイエンス教育研究センターが開講する「データサイエンス特殊講義Ⅲ」では、「働く人とデータ分析」をテーマに、企業の人事戦略でデータサイエンスを活用する取り組みである「ピープルアナリティクス」について学びます。この科目は「一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会(https://peopleanalytics.or.jp/)のご提供により、3名の実務家教員に担当いただいています。この科目では企業の最前線の人事部門で活躍している講師をゲストスピーカーとしてお招きし、3回に渡って企業におけるピープルアナリティクスの先進的な取り組み事例についてお話しいただいています。
第1回目の5月12日(月)は、佐久間祐司氏(LINEヤフー株式会社)をお招きし「LINEヤフーにおけるPeople Analyticsのお仕事」についてお話しいただきました。
最初に、LINEヤフーでピープルアナリティクスを担っている組織「ピープルアナリティクスラボ」の紹介やその役割、業務プロセスについてお話しいただきました。ピープルアナリティクスラボの仕事には、BIツールと呼ばれるソフトウェア等を使って、人事に関するデータを効率的にわかりやすく伝える「データの可視化」と、成果をあげているチームや個人の特徴を明らかにする等、データから新たな価値を見つけ出し社内に実装する「データ分析」の大まかにいって2種類があることを、データのサンプルを示しながらご説明いただきました。
続いて、「データ分析」の事例として、「360度評価におけるバイアス除去技術の開発と社内への展開」についてお話しいただきました。上司だけではなく同僚や部下が人事評価を行う360度評価に、スポーツチームのランキングに使用されているBradley-Terryモデルを用いることで、バイアス(偏りや先入観)を除去したスコアを算出した事例の紹介があり、受講生たちも熱心に聞き入っていました。
講義の後は担当教員も含めたパネルディスカッション形式の質疑応答となり、受講生がSlidoに入力した質問にお答えいただきました。受講生からは、「どちらの人の方が優秀で、スキルがあるのかは、具体的にどのように決めるのか」「360度評価の評価者は、実際の人間関係を基に設定されるのか」等、Bradley -Terryモデルを用いたスコアの算出に関連した多くの質問が寄せられ、関心の高さがうかがえました。
佐久間氏は、「今日の目標は、ピープルアナリティクスの実態のイメージを持つことと、普段の授業の先にある応用事例を知ることで、より授業を楽しめるようになってもらうことでした。目標を達成できたかどうかは、皆さん次第。この目標に近づけるよう今後も意欲をもって学んでほしい」と話し、学生たちにエールを送りました。
*次のゲストスピーカーの登壇は、第2回を6月2日(月)、第3回を7月7日(月)に予定しています。
佐久間祐司氏
LINEヤフーにおけるPeople Analyticsのお仕事について説明
講義の後は、パネルディスカッション形式の質疑応答
受講生からの質問に対して、丁寧にお答えいただきました