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データの良き聞き手役となりたい

定行 泰甫 准教授
経済学部 経済学科
専門分野:都市経済学、応用ミクロ経済学

 気候変動対策として、カーボンプライシングという言葉を耳にする機会が増えてきました。言葉のとおり、二酸化炭素(CO2)に価格を付けるということです。そうすることで、消費者や企業に温暖化の原因とされるCO2の排出削減を促そうというものです。日本国内では、その一例として、東京都と埼玉県で「排出量取引」という制度が2010年から導入されました。東京?埼玉に立地する大きな建物、工場、施設などが規制対象となっており、澳门网上博彩_澳门现金网-在线官网キャンパスもその一つです。今年度(2023年度)は、制度導入以前の年間CO2排出量より27%も排出を削減しなくてはなりません。削減できなかった分は、ほかの企業や大学から、排出する権利を買い取ることになります。

 この制度導入が検討されていた当初、産業界を中心に「炭素リーケージ」を懸念する声がありました。「東京都や埼玉県ではCO2排出量が減るだろうが、そのほかの県での排出量が増加してしまうのではないか」といった懸念です。政府は、以前から全国約1万5000の施設のCO2排出量を記録していましたので、私はそのデータを使って、実際に炭素リーケージが発生したかについて検証することにしました。ただし、炭素リーケージを検証するには、色々と注意が必要です。例えば、東日本大震災やコロナにより全国的にエネルギー消費が低下しましたが、それは排出量取引の影響ではありません。排出量取引の規制を受ける企業の施設と、規制を受けない企業の施設、その両者の排出量の変化を統計的に比較しました。

 分析の結果、炭素リーケージは起きておらず、むしろ逆のことが起きていたことが分かりました。つまり、排出量取引の導入後、規制を受ける企業は、東京?埼玉にある施設だけでなく、他県の施設でも排出量を減少させていたのです。これは当初の予想と反するもので、「排出量取引の導入をきっかけに、企業内の非効率なエネルギー消費が改善され、規制対象地域だけでなく、他県でも省エネ化のスピルオーバー(波及)効果があった」ことを裏付ける発見でした。

 排出量取引による炭素リーケージの可能性はほかにもいくつか残されています。例えば、規制対象となる企業は外注を増やすかもしれないですし、新しい工場を建設する際は、東京?埼玉を避けて、隣接地域や海外に建設しようとするかもしれません。またデータとの対話を通して、真相をお聞きできたらいいなと思います。

執筆者プロフィール

定行 泰甫 定行 泰甫

定行 泰甫 | Taisuke Sadayuki

経済学部 経済学科 准教授
専門分野:都市経済学、応用ミクロ経済学

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